「ヤクルト」は韓国発祥の飲み物だった?!

ヤクルトは韓国発祥の飲み物なのか? 

 

3日に韓国大手紙「中央日報日本語版」が公開した記事『【韓国の長寿ブランド】500億本売れた国民的発酵乳「ヤクルト」』が話題を呼んでいる。

 

記事では、韓国ヤクルト創業者の尹徳炳(ユン・ドクピョン)会長(今年6月に死去)の業績を中心に紹介。
1971年、韓国での販売開始以来、500億本の売れ行きを達成し、「国民的飲料」となったことを讃えている。
さらに、販売躍進の原動力として「ヤクルトおばさん制度」という、日本でいうところの「ヤクルトレディ制度」を導入し、女性の社会進出を促したこと、「ヤクルトおばさん」は韓国最大の販売組織に成長したというエピソードなどを詳述している。
これに対して、インターネット上では「あれ、ヤクルトって韓国が開発したの?」「ヤクルトが日本の会社って知らないのか?」など疑問の声が噴出している。

 

株式会社ヤクルト本社のホームページ「Yakult80th」を見てみる。
同社の現在までの歩みをまとめると次のようになる。

京都大学医学部で微生物を研究していた医学博士の代田稔は1930年、乳酸菌の一種であるラクトバチルス・カゼイ・シロタ株(L. カゼイ YIT9029)の強化・培養に成功した。
35年にこの乳酸菌を生かした飲料を開発し、福岡県福岡市で代田保護菌研究所を設立し製造・販売を開始した。
38年には商品名「ヤクルト」を商標登録。
63年に独自の婦人販売店制度(ヤクルトレディ制度)を導入し、69年に香港ヤクルト、71年に韓国ヤクルトとタイヤクルトが営業を開始した。

 

ところが、中央日報の記事には一言も「日本」の文字が出てきていない。
ヤクルトがもともと日本ブランドであること、韓国ヤクルトが日本ヤクルトと資本関係のある関連会社であることも記載されていない。

 

確かに、外資系企業の現地法人の歴史や業績を紹介する記事なら、長々と本国本社の紹介をすることは紙幅の問題から適切ではないだろう。
だが今回の記事はあまりにも背景の説明がなく、何も知らないと「ヤクルトが韓国発祥の飲み物」で「ヤクルトおばさん制度」は韓国独自の制度という風に誤解を招くのではないだろうか。

 

そもそも、なぜこの記事を日本語に翻訳し、日本語版ホームページで発表したのか。その意図を中央日報社日本総局に聞いてみたが、「当該記事は本社から出稿された記事でした。どういう経緯で掲載されることになったのかは日本総局ではわかりかねます」とのことだった。

 

日韓関係悪化の影響で、韓国国内では日本製品の不買運動が続く。
財務省が10月30日発表した貿易統計の確報によると、9月の韓国向けビールの輸出金額は前年同月より99.9%減。92.2%減だった8月より減少幅は拡大している。

ヤクルトが日本系企業だということをアピールすれば、日本のヤクルトのみならず韓国ヤクルトにも影響が出るだろう。

 

韓国外交関係者は次のように解説する。

「インターネット上では『日本発祥の商品と書かないのは、歴史の隠蔽だ』という批判もありますが、結果的に中央日報は『日本発祥』と書かないことでヤクルトが新たな不買ターゲットになることを防ぎ、韓国国内の無駄な火種を増やさなかったといえます。
今月4日、文在寅大統領と安倍晋三首相の会談が実現しました。
なんとか日本との関係再構築を図り、北朝鮮への急旋回を続ける文政権を止めたい韓国の保守派は、このチャンスを生かしたいと思っています。
中央日報は保守系の新聞社です。
日本の一部報道で『韓国人はヤクルトを自国発祥と思っている』という指摘もありますが、韓国ヤクルトほどの大企業の設立背景や販売店制度を、中央日報が知らないということは絶対にありません。
国内世論の問題もあって、大きな声では言えないけれど今回の『ヤクルト』の記事を通じ、『韓国と日本の産業界はとても密接な関係にある』と日本の読者にもほのめかしたかったのでしょう」

 

ヤクルトは全世界で飲まれている。
韓国にも日本と同様にたくさんのファンがいる。
日韓関係の悪化で、これ以上、両国の商品に影響が及ぶ事態は避けてほしいものだ。