「同期のサクラ」主演の高畑充希はロボット・ヒロイン路線でいいのか?!

NHKの朝ドラに出演することは、若手女優にとって大きな登竜門だ。

 

今クールのドラマを見ても、主演では『少年寅次郎』(NHK)の井上真央、『G線上のあなたと私』(TBS系)の波瑠、『同期のサクラ』(日本テレビ系)の高畑充希。
脇役では『時効警察はじめました』(テレビ朝日系)の吉岡里帆や『俺の話は長い』(日本テレビ系)の清原果耶など、朝ドラ出演で注目を浴びた女優が目立った活躍を見せている。

 

つまり朝ドラで全国的な知名度を獲得してから次のステップを踏むことが出世コースとなっているが、同時に朝ドラで成功した後、どんな役を演じるのかという進路の選択に苦労しているように見える。

 

そんな中、朝ドラ出演によって演じる役が大きく変わったのが高畑だ。

 

高畑は現在、水曜夜10時の『同期のサクラ』で主演を務めている。
本作は、故郷の離島と本土の間に橋をかけたいという目標を持って大手建設会社に就職した北野サクラ(高畑)と同期の仲間たちの、2009年から現在(19年)までの10年間を描いた物語だ。

脚本は遊川和彦。
高畑とは『過保護のカホコ』(日本テレビ系)に続いての再タッグ。
過保護のカホコ』も『同期のサクラ』も、高畑が演じるのは空気を読まずに自分の思っていることを言って周囲を翻弄する、機械のようなしゃべり方をする極端に記号化されたロボットのような女性だ。
これは遊川が最も得意とするヒロイン造形で、かつて大ヒットした『女王の教室』(同) も『家政婦のミタ』(同)も同じパターンで作られていた。

 

しかしまさか、遊川作品のヒロインを高畑が演じ、ここまでハマるとは思わなかった。
なぜなら、今まで高畑が演じてきた役はサクラのようなロボット・ヒロインとは真逆の、一見ふつうに見えるが、心の奥底にめんどくさい感情を隠し持った繊細な女性だったからだ。

 

高畑は現在27歳。
05年、中学生の時にホリプロが主催したミュージカル『山口百恵トリビュートミュージカル プレイバックpart2 ~屋上の天使』のオーディションで主演の座を獲得し、女優デビューを果たした。
その後、07~12年までミュージカル『ピーターパン』の8代目ピーターパンを務め、『奇跡の人』など、さまざまな舞台で活動。

テレビドラマで大きく注目されたのは、木皿泉が脚本を手掛けたSFテイストの学園ドラマ『Q10』(日本テレビ系)だろう。
本作で高畑は、自分に自信がない真面目な優等生を演じた。

Q10』を筆頭に、自分に自信のない女性の繊細な内面、男には若干めんどくさく見える鬱屈した内面を抱えた女性を演じさせると、高畑は突出した魅力を見せた。

中でも坂元裕二脚本の『問題のあるレストラン』(フジテレビ系)や『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(同)では、一見社会に適応している社会人だが、その奥底に不安やいらだちを抱えた不安定な女性を見事に演じていた。

当時の高畑は二番手、三番手の役が多く、社会に過剰適応した優等生的な内面を抱えた女性を演じさせたら右に出る者がいない名脇役というポジションだった。

 

そんな高畑の立ち位置は、朝ドラの『とと姉ちゃん』で連続ドラマ初主演を務めたことで大きく変化する。
彼女が演じたのは亡き父に代わって、2人の妹と母親を支えようとする“とと姉ちゃん”こと小橋常子。
物語は王道の朝ドラで、出版社の編集長へと成長していく常子の姿を半年間かけて演じ、高く評価された。

 

その後、高畑は主演の仕事が増えるのだが、主演を演じるようになると、求められる役割はめんどくさい内面を抱えた鬱屈した女性から、わかりやすい記号的なキャラクターへと変化し、『過保護のカホコ』や『忘却のサチコ』(テレビ東京系)など、感情を表に出さない(もしくは極端に記号的な振る舞いをする)ロボット・ヒロイン路線が続いている。

 

一方で、ドラマ『メゾン・ド・ポリス』(TBS系)の女刑事や地方在住のギャルを演じた映画『アズミ・ハルコは行方不明』など、人間的な役も演じてはいるのだが、やはり印象に残るのは『同期のサクラ』のようなロボット・ヒロイン路線で、後者が高畑のパブリック・イメージになりつつある現況を見ていると、果たしてこの方向性でいいのだろうかと思ってしまう。

 

もちろんロボット・ヒロインといっても、高畑が演じているだけあって、もう少し複雑だ。
サクラも、感情を表に出さない機械のように見えながら、時々、人間らしい感情がにじみ出る瞬間があり、そこで物語の感動が生まれる作りになっている。

 

そんな、微妙な感情のゆらぎを見ていると、高畑自体は今も変わっておらず、求められる役割をクリアしながら、なんとか自分の持ち味を出そうと模索している渦中なのかもしれない。
そんな高畑のけなげな姿には、やっぱり真面目な優等生だなぁと感心する。
しかし一方で、昔からのファンとしては、もっとめんどくさい高畑が見たいと思ってしまうのだ。