「値下げしない」ソフトバンクの強気な戦略!!


昨年12月19日に東証一部へ上場した後、ソフトバンクにとって初めてとなる決算会見が2月5日に開かれた。

NTTドコモが今春、携帯電話料金の値下げを予定している中、ソフトバンクの料金施策に関心が集まったが、同社の宮内謙社長はメインブランドのソフトバンクでの値下げを否定。
「他社がどういう値段でやってくるかわからないが、何らかの形で低価格を提示してきたら(グループの格安スマホブランドの)ワイモバイルで対応させる」と語った。

同社の2018年4~12月期の決算は、売上高が前年同期比4.9%増の2兆7766億円、本業の儲けを示す営業利益は同18.5%増の6349億円、純利益が同18.7%増の3958億円と好調だった。
個人向けの携帯電話サービスの契約数は同9.7%増の2146万件となり、採算も向上して業績を牽引した。

ただ、収益柱の携帯事業は、人口減少という構造要因に加え、政府からの値下げ圧力で業界は逆風にさらされている。
しかし、宮内社長は「日本の個人のスマートフォンの保有比率(2017年12月で6割台)からすれば、成長市場の途上だ」と反論した。
ヤフーの通販事業でのポイント還元やスマホ決済サービスのペイペイ、タクシー配車アプリのDiDiなどを挙げ、「なんでスマホがマチュア(成熟)なのか。それはおかしい。(スマホの)利用シーンが増え、バリュー(価値)が上がっている」と強調した。

とはいえ、足元の競争環境が一段と激化しそうなことも事実だ。
KDDIの髙橋誠社長も決算会見で「競争なので(料金値下げに)対応していく」と述べ、auもドコモに対抗し、携帯料金を値下げしていく考えを示した。
3大携帯キャリアのうち2社が値下げを決めたため、会見ではソフトバンクの料金戦略に質問が相次いだ。

宮内社長は、すでに安い価格帯のプランを用意していると説明し、同社のメインブランドであるソフトバンクでの値下げを否定した。
ソフトバンクブランドでは、大容量(50GB)のデータ定額で月額5980円(税抜き)の新料金プラン「ウルトラギガモンスター+(プラス)」に大半のユーザーを誘導している。
会見では、「このプランの1GBあたりの単価は80円で、他社の1GBあたりの単価224~250円よりはるかに安い」という資料がスクリーンに示された。
宮内氏は「本当に(GBを)使いたい人からすれば、非常に安いプランだということをご理解いただきたい」と述べた。

他方で、「安いのがほしい人はワイモバイルにいけばいい。全部が全部安くする必要はない」として、「大容量はSBで対応させる。低価格はワイモバイルで対応させる。こういうバランスで対応できる」と自信を見せた。
だが、この思惑どおりいくのかは不透明だ。

auやドコモでは、小容量ユーザー向けの従量課金制のプランと、20GBや30GBの定額プランが主力だ。
これに対し、ソフトバンクにも小容量プランはあるが、補助的な位置づけの料金設計だ。
実質的にはウルトラギガモンスター+の一択に近い。

その結果、ソフトバンクでは「とりあえず大容量には入ったが、実際には50GBも要らない」というユーザーも一定数いることが考えられる。ソフトバンクが示す1GBあたりの単価80円と、実際に客が利用しているGBあたりの単価には大きな乖離がある可能性もある。

ドコモなどの値下げは、利用者がキャリア各社の料金を比較し、乗り換えを検討するきっかけにもなる。
「50GBは多すぎる」というソフトバンクのユーザーが、値下げしたドコモやauに移る可能性はあるだろう。
宮内社長の説明では、こういうユーザーを引きとめ、2社の値下げに対抗するポジションにあるのがワイモバイルということになる。

ワイモバイルはブランド名こそ違うが、通信品質などはソフトバンクとまったく同じものだ。
ソフトバンクでは、大容量はソフトバンクブランド、中容量はワイモバイルという形ですみ分けしている。

宮内社長はワイモバイルを1~2割程度値下げする方針を示し、「上半期には出す。ドコモがどういうプランを出すかを勘案しながらだ」と述べた。
現在、ワイモバイルはオプションでのデータ容量追加も入れると月に2~21GBまでのデータ容量の使用に対応したプランを用意しており、容量的にはドコモやauの主力プランに重なる。

ただし、3大キャリアのメインブランドとワイモバイルには1つ決定的な違いがある。
メインブランドでは、通信料金プランと組み合わせて値引きされる端末として、最新のiPhoneなどが用意されている。
一方、ワイモバイルでは最新の端末は用意されておらず、少し古い型のものしか選べない。
メインブランドと比べて、アフターケアなどを受けられる店舗数も少ない。

総務省は現在、キャリアが通信料金とセットで端末を割り引く防止策を急ピッチで検討している。
その結果次第では、競争環境の前提も大きく変わりうる。

とはいえ、現状ではワイモバイルと、ドコモやauの主力プランには、ユーザーが選択できる端末に差があることも事実。
ドコモやauの値下げ戦略にワイモバイルで立ち向かうソフトバンクの方針は、はたしてうまくいくのだろうか。