平成最後の「NHK紅白歌合戦」もマンネリ化が否めない?!


大みそかの風物詩であるNHK紅白歌合戦。
すがに69回目ということもあり、マンネリのそしりを免れないが、今年は「平成最後」という期待も膨らむ。
通常の出場歌手が発表された11月14日以降、「特別枠」の出演者が明らかにされている。
もったいぶった発表が恒例になっているが、当日まで気をひこうとする演出は効果があるのか。

第69回「NHK紅白歌合戦」の全貌が明らかになってきた。テーマは「夢を歌おう」。
総合司会は昨年同様、内村光良と桑子真帆アナ。紅組は広瀬すず(来年4月スタートの連続テレビ小説「なつぞら」ヒロイン)、白組は嵐の櫻井翔が司会に抜擢された。

初出場の歌手は、紅組のあいみょん、DAOKO(ダヲコ)、白組のKing&Prince(キンプリ)、Suchmos(サチモス)、純烈、YOSHIKI feat.HYDEの6組だ。例年のことだが、中高年からすれば、見事に「いったいダレなんだよ」という名前が並んだ。

あいみょんは、この秋のドラマ「獣になれない私たち」(日本テレビ系)の主題歌「今夜このまま」などで人気になった。
DAOKOは米津玄師とコラボした曲「打上花火」で一気に注目を集めた。
TOKIOが逃した枠に滑り込んだのが、同じジャニーズのキンプリ。
Suchmosは6~7月に行われたサッカーW杯ロシア大会で、NHKのテーマ曲「VOLT-AGE(ボルテージ)」を手がけている。
「スーパー銭湯アイドル」としてオバサンたちの熱い支持を得ている純烈やHYDEと組んで初出場になったYOSHIKI……、どうしても初々しさは感じられない。

常連組は、年末の音楽特番や紅白でしか見なくなった郷ひろみが31回目の出場を果たす。
新御三家の仲間・西城秀樹を追悼するステージを演出してくれるだろうか。
郷といえば、永遠のアイドル松田聖子も22回目。
演歌勢(五木ひろし、石川さゆり、坂本冬美、天童よしみ、氷川きよし)はさておき、EXILE(12回)、福山雅治(11回)、Perfume(11回)など、息の長い活躍は立派なものだ。
24回出場のTOKIOが落選したことを考えると、常連とはいえ、どこに落とし穴があるか分からない。

復活組は、5年ぶり13回目の出演となるaiko、「放牧中」として活動休止だったいきものがかり、MISIA、松任谷由実ら。
今年を代表するヒット曲「U.S.A.」で再ブレイクしたDA PUMPはともかく、どうしても「なぜ?」という疑問がぬぐえない。

とはいえ、青春時代をともに過ごしたという中高年にしてみれば、7年ぶり出演のユーミンは注目に値するだろう。
NHKもそのへんはしっかりおさえていて、ユーミンが歌う曲は「私が好きなユーミンのうた」として公募中だ。
視聴者参加型の演出は、昨年、「AKB48選抜メンバーが当日のステージで歌唱する“スペシャルメドレー曲”」で、すでにやっている試みだ。
天下のユーミンともあろう大御所をAKBで使った二番煎じ企画で使うとは……。
わざわざ公募しておきながら、1番を選ばなかったJR東日本の「高輪ゲートウェイ」のように、がっかりな曲にならないように祈るしかない。

ここ数年の紅白は、視聴者の興味を引こうとするあまり、出場歌手の内定に始まり、企画などいろいろな情報が事前に小出しにされる。
だから、本番当日を迎える前に、すっかり見たような気になってしまう。
生放送なのに、脚本やスケジュール表が見えるようで、まったく“生”らしさを感じられない。

「ガキの使いやあらへんで!」(日本テレビ系)の「笑ってはいけない」シリーズや格闘技のほうが、予想外のハプニングが盛りだくさんだ。
若い視聴者が紅白から流出しているのもうなずける。

今年は、昨年の安室奈美恵のように話題性のある「目玉」がない。
なんとか盛り上げようと躍起になるNHKが望みをつなぐのは「企画コーナー」だ。

まずは、椎名林檎とエレファントカシマシ宮本浩次のコラボ。
「ミュージックステーション」(テレビ朝日系)ですでに披露されており、視聴者の度肝を抜くパフォーマンスが話題になっていた。
いかにも「何かやらかすのではないか」という2人に期待も膨らむ。

世界で人気だという「ジャパンカルチャー」の企画もある。
出演するのは、Aqours(アクア)に刀剣男士(とうけんだんし)。
出演者の名前だけで、頭の中に「?」がいっぱいになったオジサンたちのために説明したい。
Aqoursは「オールメディアで展開するスクールアイドルプロジェクト『ラブライブ!サンシャイン!!』に登場するスクールアイドル9人組によるグループ。
および、そのキャラクターの声を演じる9人の女性声優たちによる実在のグループ」なんだそう。

そんなこと言われても、チンプンカンプンという人が多いだろう。
写真を見てみると、衣装がセーラー服だけに、ちょっといかがわしい店のチラシのようなイメージで不安になる。

刀剣男子は、ユーザー数450万人を超えるという大人気PCブラウザ・スマホアプリゲーム「刀剣乱舞‐ONLINE」を原案としたミュージカル『刀剣乱舞』で活躍中のグループ」とのことだ。
女性を中心に人気のいわゆる「2.5次元舞台」の出演者たち。

この2組の紅白出演は、アニメオタクにはたまらないらしく、SNSなどで異常な盛り上がりを見せている。
「アクアの出演は何時何分なんですか?」
「刀剣男子が出たらすぐに実況してください」
情報の拡散・共有能力の高いファンが多いだけに、この2組が出演する場面だけちゃっかり視聴するのだろう。

紅組・白組に関係のない「特別枠」で、北島三郎とサザンオールスターズが出演することも発表された。
企画コーナーで、NHKの番組「チコちゃんに叱られる!」のチコちゃんと岡村隆史の出演も決まった。

驚いたのは、北島三郎の5年ぶりの復活だ。
2013年の出場50回という節目をもって“紅白卒業”を宣言したはずだった。
いくら、サブちゃんの「まつり」が盛り上がるとはいえ、これではたちの悪い「閉店商法」みたいだ。
しかも、弟子の北山たけしと大江裕が「北島兄弟」なる特別ユニットを組んで「ブラザー」を歌うって……。「抱き合わせ商法」もか。

サザンはNHKホールのステージからパフォーマンスする。
桑田佳祐は、昨年の紅白にも特別枠で出演している。
もはや、特別感がなくなっていないだろうか。

サブちゃんが復活して、チコちゃんが出演者たちに毒づく演出がありなら、サッちゃん(小林幸子)とケンちゃん(美川憲一)の衣装対決を復活させたほうが盛り上がりそうだ。

大盤振る舞いの「特別枠」で、本当のサプライズがまだあるのではないかとの憶測も消えない。
これでは、最初に発表された「出場歌手」の面目丸つぶれだ。

最近の紅白といえば、「話題」に便乗したり、「番宣」(番組宣伝)をからめたりすることが多い。

2016年には、大ヒット映画「シン・ゴジラ」とコラボし、「紅白にゴジラ襲来!」というまれにみるお寒い企画があった。
あの時、公衆の面前で、赤っ恥をかかされた長谷川博己は、現在放送中の朝ドラ「まんぷく」でヒロインの夫を演じている。
もしかすると、あの時のおわびでヒロインの夫に決まったなんてこと……あるわけないか。
この年は、「PPAP」の大流行もあって、ピコ太郎をこれでもかと出しまくっていた。

残念ながら、今年のエンタメ界はヒットや流行に恵まれなかった。
誰もが口ずさむような大ヒット曲もなければ、お笑いにいたっては、ひょっこりはんとガリットチュウくらいか。
「ゲッツ」「残念!」「あったかいんだから~♪」など、ステージをちょうどいい具合に温めてくれそうなギャグがない。

司会やゲスト審査員などに、大河ドラマや朝ドラの出演者をそろえるのもお約束だ。

12月19日に発表された審査員は、中村勘九郎、阿部サダヲ(来年の大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺~」の主役)、安藤サクラ(朝ドラ「まんぷく」ヒロイン)、永野芽郁(朝ドラ「半分、青い。」ヒロイン)、佐藤健(朝ドラ「半分、青い。」に出演)ら11人。
NHKの“番宣力”みなぎる顔ぶれとなった。

俳人の夏井いつきだって、Eテレの「NHK俳句」や「俳句王国が行く」に出演している。
サッカー日本代表のキャプテンを務めた長谷部誠は、きっとSuchmosとからまされるに違いない。

審査員に起用された出川哲朗は、「ガキの使い~」との掛け持ちとなる。
紅白が人気の裏番組にちゃっかり便乗する。

最後に、頼まれてもいないが、勝手に「紅白」を盛り上げる方法を考えてみた。

企画ばかりに力が入っているようだが、紅白の醍醐味はやはり「歌合戦」のはずだ。

LGBTとかジェンダーといったことが騒がれる時代にあって、女性を紅組、男性を白組に分けて対戦させるなんてことが許されるのは、NHK紅白の特権だ。
だれが喜ぶのか分からないが、勝ち負けにこだわるのもイマドキ珍しい。

ならば、テレビ東京の「THEカラオケ★バトル」のように、機械で採点して真剣勝負というのはどうだろう。
ベテランも新人も関係なく歌唱力を点数化すれば、これぞまさに「歌合戦」。
特別枠なんていう出演者のために、レギュラーの出場歌手がかすんでしまうのはおかしいと思う。

平成最後の紅白。目玉のない今年こそ、しゃんとした「歌合戦」に挑戦してみては。