求人条件「非喫煙者に限る」が常識に?!


千葉県下で健診を行なう公益財団法人ちば県民保険予防財団は、昨年からHP上で求人応募者を「非喫煙者に限る」との方針を示してきた。
同財団は「禁煙」を啓発しているためだ。

ところが今年9月、同財団がハローワーク千葉に7種(看護師や事務職など)の求人票に「非喫煙者」の条件記載を求めたところ、却下されたという。

ハローワーク担当者側の拒否理由は、「タバコは個人の問題」であり、求人はあくまでも「個人の適性や能力のみで選考すべき」というものだった。
組織としても、厚生労働省が謳う「公正な採用選考」を引きながら「できる限り門戸を広げるため」と説明している。

しかし一方で、当の厚労省見解は「合理的な理由があれば一概に差別とはいえない」(支援室)と報じられた。
また、職場内の喫煙対策事情に精通する産業医科大の大和浩教授も「喫煙者を雇った場合」の危惧として、就業前や休憩時間の喫煙行為が患者に受動喫煙を引き起こす可能性が否めない。
ましてや、健康関連産業の採用基準ならば、「非喫煙者に限るのを必須条件とすべき」と言い切っている。

実際、今回のような求人票の記載条件は、全国のハローワークでバラつきがある。
看護師や薬局従業員などの医療に関連する職種に限らず、飲食店でも「非喫煙者」の条件明示を認めている記載例は存在する。

最近の企業内禁煙事情に目を転じると、医療機器を手掛ける島津製作所では毎日計2時間の「禁煙時間」を設ける取り組みをスタートした。
従業員の健康増進をめざし、社屋内の喫煙所を一定時間使わないように呼び掛ける試みで、「健康経営」に積極的な上田輝久社長の肝入りだ。
2020年春以降には、全就業時間の禁煙拡大を目指しているという。

年明け1月からグループ全体(約3500人)で「外回りを含む完全禁煙」に踏み切るのが、十六銀行(本店:岐阜県岐阜市)。
これまでは規定の時間内(11:30~13:30/15:15~15:45)と場所でのみ喫煙が認められてきたが、新春から一切禁止になる。
外出の多い営業担当行員も例外ではない。

奈良県生駒市では「昼休み以外の休憩時間内の喫煙」を禁止。
吸った職員は「喫煙後45分間のエレベーター使用」も禁じて話題を呼んだ。

府内施設の多くを全面禁煙とした大阪府では、職場を抜け出し近隣の民間ビルの喫煙室で吸っていた職員を訓告処分(職務専念義務違反)とした。

仮に1時間に1回抜け出せば、8時間労働だと15分×7回で計105分間の「嗜好タイム」が費やされている計算だ。
非喫煙者からの不平、不満が出るのもわかる。
この「ロスタイム」の格差調整に頭を悩ませる企業も少なくない。

社内の目安箱に投じられた「タバコ休憩」への提言から、昨年9月より非喫煙社員には年最大6日の有給休暇制度=「スモ休」を導入したのが、東京・渋谷区のマーケティング支援会社「ピアラ」だ。

同社のオフィスは恵比寿ガーデンプレイスタワー29階にあり、喫煙室は設けていない。
吸いたければ地下1階まで降りざるを得ない。そのため、社内推計で1回当たり10~15分の喫煙時間が生じるという。

とはいえ、喫煙室で仕事上の打ち合わせが捗ったり妙案が生まれたりするという側面も、全面的に否定はできないとして、同社は策を練った。
約35%を占める喫煙者側への「罰則」ではなく、非喫煙組(過去1年間の非喫煙が条件=自己申告)に「スモ休」を与えることにしたのである。
結果、禁煙派が増えて社員の健康向上、有給休暇消化率のアップや働き方改革が進んでいるようだ。

就活前の時点で「資格なし」の門前払いを謳うか、採用後の「待遇格差」で優秀な喫煙人材を選ぶか……。
才能を見分ける企業の採用担当者からすれば、「煙が目に染みる」ように正解が判別しがたいことだろう。