月9最低視聴率更新!!「突然ですが、明日結婚します」はなぜつまらないのか!?


苦戦続きの月9『突然ですが、明日結婚します』(フジテレビ系)第6話の視聴率は6.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)でした。
月9史上、単話での最低記録を0.4ポイントも更新。
5%台も目の前です。
でも、しょうがないと思う。

だって、つまんないんだもん。

結局のところ、「結婚したい女」高梨あすか(西内まりや)が、「結婚したくない男」である“ナナリュー”こと名波竜(flumpool・山村隆太)に身体を許すのか否か、付き合うことにした2人がいつ、どんな段階で、どんなセックスをするのかを描くことから徹底的に逃げ続けているために、関係性が見えてこないんだと思うんです。

少なくとも、このドラマのあすかはヤリマンではありません。
だから、セックスをするには、それなりのハードルがあるはずです。

あすかは、自分と結婚したくないと思っている男が好きで、好きだからセックスを拒む気持ちは全然ない。
でも相手も忙しいし、なかなかタイミングが合わない。
ナナリューは身体を求めてきたり酔っ払って変な場所に手を入れてきたりするのに、途中で寝ちゃったりもする。
そういうプロセスを経て、結ばれる2人……というのを、原作コミックの2巻で丸1冊かけてやってるんです。
「結婚」と「セックス」は切っても切れないものであって、セックスをすることで2人の関係性にも変化があるという、ごく当たり前ですけど、もともとそういうところを描き切ることでリアリティを生んでいるのが『突然ですが、明日結婚します』という作品だったわけです。

で、これも当たり前なんですけど、月9でそれをやるわけにはいかない。
数話前に、あすかとナナリューが小野さん(森田甘路)の部屋で2人きりで一夜を過ごし、朝帰りするシーンがありました。
そういうシーンを書いているにもかかわらず、「ヤッた」とも「ヤッてない」とも言えないんです。

先に、あすかはヤリマンではないと書きましたが、ナナリューは「目が覚めた瞬間、誰にでもキスしちゃう」ことがクセになっているほどの“経験豊富なヤリチン”という設定です。
この設定は「クセになるくらい女と寝てるし、いつも女と寝たいと思っている」ことを定義しているはずなんです。
なのにドラマのナナリューは1回も、誰にも、「やらせて」と言わない。そんなそぶりさえ見せない。なぜなら、月9だから。

今回も、お好み焼きパーティのあと2人で帰路に就いたときに、あすかが「ふー、帰りたくない」とつぶやくシーンがありました。
普通に考えりゃ「じゃ、ホテル行く?」という展開でしょう。
でも、ドラマからセックスの匂いを完全に消したおかげで、あすかの「帰りたくない」というセリフに意味がなくなってる。
そのあとナナリューは、あすかの手を引いて抱きしめてキスするわけですが、このときのナナリューの「キスしたい」という動機にも、意味がなくなってる。

ナナリューは「好きだからキスしたい」とは思っても「好きだからセックスしたい」とは決して思わない、不可解な人物として画面の中に生きています。

昨今、『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』(日本テレビ系)の校正者の働き方はありえないだとか、『A LIFE~愛しき人~』(TBS系)の医療描写は本職の医者から見れば噴飯ものだとか、そういう「ドラマにおけるリアリティ論争」が散見されますが、それらはいずれも登場人物の心の動きや、行動の動機付けにリアリティを持たせるために無理が生じてしまった例でしょう。

このドラマの「リアリティのなさ」は、そんなレベルではありません。
何しろ「好き」という気持ち、恋愛ドラマの主軸である「誰かが誰かを好きだという思い」にリアリティがないんです。
これが、ヤリチンなのに去勢されてしまったナナリューの悲劇です。

そこに悲劇があるから、演出をいくらコメディに振っても笑えないんです。
森田甘路と古舘寛治が一緒に風呂に入ろうが、椿鬼奴が持ち味全開でやさぐれようが、主役たちの「好き」が空っぽだから、シラケるばかりなんです。
好きならもっと心を焦がせよ、互いを求めろよ、オナニーをしろよ! ということです。

今回は、あすかと結婚したがっている神谷(山崎育三郎)を噛ませ犬にして、カレーを食ったりなどすることで1時間を潰しました。
来週はナナリューのかつての不倫相手・桜木夕子(高岡早紀)が、その役割を担うようです。

あすかとナナリューを2人きりにしても何も起こせないから、こうしてドッジボールみたいに障害を投げつけて、2人そろってリアクションさせることでしか時間を埋められなくなってるんです。
電波の無駄使いですよ。